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静岡発!「整理収納」なるほどレシピ
Vol.70 89歳のひとり暮らしの叔母の引っ越しで気付いたコト

静岡県内各地で整理収納講座や女性講座を多数開催している「整理収納アドバイザー」佐藤慶子先生が、整理収納ワンポイントアドバイスをご紹介します。(佐藤先生のサイト【ブログ】)

皆さま こんにちは。
節分が過ぎ、暦の上でも年が明けたことになりました。私が子供の頃は、ご近所の家を回ってお座敷に横にならんで、大人が豆と一緒にお菓子をまいてくれたのを必死で拾った記憶があります。

そこが終れば、また他の家に移動。どんどんお菓子が増えていく夢のような行事でした。現在はそんなことをする家をみかけることもありませんが、復活してもいいんじゃないかと密かに思っているんですよ。

豆まきの由来は、京都の蔵馬で鬼が出た時に、毘沙門天のお告げによって大豆を投げつけ、目にあたって鬼を退治できたところから、魔の目に投げつけて魔を滅する=魔目(豆)に通じるということなのだそうです。

そういえば仏滅も、仏滅=物滅と考えることができます。要らない物を何かひとつでも手放すことを習慣づけてもいいですね。

今年はあなたの心の中の鬼も退治してみませんか?

開けていない押し入れは歴史と思い出の玉手箱

モノを捨てずに持ち続けることは考えようでは<安心>とも言えます。全てのモノを捨てずに保管してあればいざという時も困らない!何故なら必ず家の何処かにあるはずだからです!

私の叔母もそれを実践してきた人でした。
89歳の叔母は結婚をしなかったので子供はいませんが、現在はペットのマルチーズと暮らしています。今回事情があって、長い東京暮らしに終止符を打ち地元の静岡に戻ることになりました。

高齢ですが戻ってきてもまた一人で暮らすことを選択。しかし、この年齢での引っ越しは相当負担が大きいので姪の私と主人、弟夫婦と一緒に片付けから手続き諸々、引っ越し準備をやることになりました。

新年早々から取り組んだことですが、作業は想像をはるかに超えるものでした。とにかく何でも取っておいた結果、見れば思い出す押入れの中の物も、そのほとんどが<持っているだけの物>であり既に使っていないモノだったのです。

泊まりに来ることもなくなった友人たち用の布団、座布団、いただき物のタオル、古い家電、着ない着物、上等の毛皮、クリーニング済のロングコート、流行った服、趣味で走っていたときの優勝トロフィー、記念の品々、海外のお土産、昔の写真、スーツケース、花器など一間半の押し入れは、戸が開けにくいほど詰め込まれていました。

あるだけで安心の対象だったのでしょうか?

または自身の歴史だったのかもしれません。

片付け作業中も思い出話しに花が咲き、私もゆっくり聞いてあげていましたが、押入れの中の物や部屋の9割のモノは捨てることになりました。
大量の写真もまた一緒に写っている方は既にこの世にはいない人も多く、写真さえ叔母には価値がなくなったようです。

価値といえば過去には生花を教えていたこともありましたが、その教授の看板とお免状も捨てることを決意。
最初は捨てることに躊躇していましたが、自分の年齢とこれからの生活に必要がないことが分かり、前向きに処分した叔母には拍手を送りたいと思いました。

もう少し早い時期に始めていたら、捨てずに活かされたモノもたくさんあったのですが、経年により色は黄ばみ、劣化し、時代に合わず、誰も欲しがらないモノと化してしまったことが残念です。

「誰かに使ってもらえば何も惜しくない」と何度も言う叔母ですが、その誰かさえいないのが現実です。引っ越しの期日が迫る中、売ってお金に変えたいと思う欲よりも一刻も早く終わらせたいという気持ちが勝り、ただただ処分の毎日。

今回のことから、シニアの方がいらっしゃるお宅は特に定期的にモノを見直す習慣が大事だと思いました。ご家族も思い出などを優しく聞いてさしあげるようにするなどし、「こんなコトをしていたのね!こんな歴史があったんだ!」と認め一緒に思い出を共有するなど<いい関係>を日頃からもつことが大切ですね。

記憶力と判断力の低下がみられるシニアは見える収納で!

叔母と姪というほど良い距離がある中で、私たちのサポートなしではできなかった引っ越しなので、叔母も素直に決断してくれました。
しかし、やはり家の中の形がどんどん崩れることに不安が募っているのはハッキリ分かりました。いつもあるモノが片付けとともに消える。移動する。心配する。

歳相応の記憶力の低下もあるので日常が崩れるのは一番つらいことなのでしょう。テーブルの上が私たちから見ればごちゃごちゃしていてキタナイと感じても叔母には決まったモノの定位置があるのです。

そこにそれが必要だからこそ視界に入れておきたいということです。そんなシニアの特性を考慮して新居の方は、しまう収納より見せる収納(見える化)としました。

また、叔母にとって一日の中で必要なモノだけ選び出し、目に入るモノの数を少なくしました。

必要最低限の数だけを揃え、それだけで足りるならば余分には買わない。何とかあるモノの中で暮らしてもらうことを提案してみました。

全てのモノがゼロからのスタートです。シニアには慣れるまでの時間とストレスが大きいと思いました。叔母のこれからの暮らし方は同時に私たちの次世代へのメッセージに繋がるものだと、自分自身へ言い聞かせる今年最初の大きな出来事でした。

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「整理収納アドバイザー」佐藤慶子先生 ご紹介

静岡県静岡市生まれ。 2010年に整理収納アドバイザー1級、整理収納アドバイザー2級認定講師資格を取得。 静岡県内を中心に、セミナー、2級認定講座、収納サービスなどを展開。 NPO法人ハウスキーピング協会所属。 静岡県内各地で整理収納講座や女性講座の開催実績多数。
2015年2月にはTBSテレビ「マツコの知らない世界」に物干しアドバイザーとして出演。

ブログ「ビバ!スタイル整理収納アドバイザー 佐藤慶子」

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